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和のハーブで夏の暑さを乗り切る

香辛料や民間療法などに使われるハーブは近年、家庭の台所でもポピュラーな存在になってきました。セージ、バジル、タイム、ローズマリー、カモミール、ラベンダーなど、さまざまな種類が料理などに使われています。

一方、日本にも古くから民間で使われてきた和のハーブがあります。身近にありすぎて、意外と気がつかなかった日本由来のハーブの魅力をご紹介します。

 

●日本三大和ハーブとは?

 

和ハーブとは、江戸時代以前から日本の風土になじみ、香りが強く、薬効のある植物をさします。日本三大薬草といわれる代表的な和ハーブは、ゲンノショウコ、センブリ、ドクダミの3種類です。

夏に白紫色の小さな花を咲かせるゲンノショウコは煎じてお茶として飲むと、下痢止めや胃薬としての効能が知られています。江戸後期の薬物に関する研究書『本草綱目啓蒙』にも記載され、民間療法に広く利用されました。名前の由来は「現の証拠」(煎じて飲むと確かに下痢止めの効果が現れる)からきています。

センブリは「千回煎じても、なお苦い」という意味の「千振り」に由来します。

煎じて飲用すると胃腸虚弱、下痢、腹痛に効果があり、エッセンスを頭皮につけると脱毛を予防するといわれています。

街中でも広く自生しているドクダミは、5月から7月の開花期のものを煎じて飲むと、利尿作用、動脈硬化予防の効果があります。生薬名を「十薬」と言い、漢方では解毒剤として利用されています。

 

●スーパーでも手軽に買える和ハーブたち

 

三大薬草は野山や身近に自生しているものを採集しますが、近所のスーパーでも様々な種類の和ハーブが売られています。代表的なものが、シソ、ミツバ、セリ、ミョウガ、ユズ、カボス、スダチ、ニンニク、サンショウ、ゴマなどです。シソ、エゴマ、サンショウなどは縄文時代の住居跡からも発見され、食品加工の際に利用されたと考えられています。

また東京都文京区には茗荷谷という名前の駅があります。江戸時代、この地域には茗荷畑が多かったところから「茗荷谷」と命名され、後に合併で地名が消えてからも、駅の名前として残りました。

 

●赤ジソでハーブティーをつくろう

 

抗酸化作用のあるアントシアニンや、動脈硬化を予防してくれるポリフェノールを含む赤ジソを使って、ハーブティーを作ってみましょう。赤ジソは生のものでもOKですし、乾燥品が手に入れば、それを利用すると手間がかかりません。薬缶に適量の水を入れ、ふたつかみ程度の赤ジソの葉を加えます。水が沸騰したら弱火にして5?10分程度煮立てて火を消し、あら熱が取れたら、保存用のポットに移します。

お好みで適量の酢を加えると水が酸性になり、アントシアニンが鮮やかな赤紫色に変わります。飲むときに蜂蜜や砂糖などを少量入れると、口当たりが優しくなります。

 

和のハーブは和食によく合うので、毎日の食卓に大活躍。冷や奴やそうめんなど、夏の定番料理にたっぷり使ってみてはいかがでしょうか。調理の時のほんのひと手間で、食欲を増進させ、夏バテの防止になります。

 

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本当においしい紅茶を入れる方法を学ぶ

紅茶は年間を通じて、誰もが口にするおなじみの飲み物です。またミルクティー、レモンティー、アイスティーなど飲み方のバリエーションもさまざま。家庭で手軽に飲むものですが、自分のため、そして家族や友人のため、ぜひひと手間かけて、おいしい紅茶を入れてみませんか? 今月はおいしい紅茶の入れ方をご紹介します。

 

●汲みたての水で、丸いポットを使う

 

紅茶には軟水が向いています。日本は軟水に恵まれた土地なので、紅茶を入れるのは普通の水道水で十分です。ポイントは空気をたっぷり含んだ、汲みたての水を使うこと。紅茶を抽出するとき、この空気が大切な役割をします。くみ置きの水や、ペットボトル入りの水などはおすすめしません。

1杯分150ミリリットルを目安に、人数分の水をやかんに入れ、火にかけます。事前に温めたポットに、1人分ティースプーン1杯(2?3グラム)の紅茶のリーフを入れて準備しましょう。

水の表面に泡がぽこぽこと湧きでて、お湯が沸騰したら、すぐに火から下ろし、ポットに注ぎます。できるだけ高い位置から湯を注ぎ、空気をたくさん含ませるのがコツです。ポットの中で湯が対流し、リーフがジャンピング(茶葉がポットの上下を移動する)したら成功です。リーフから香りが十分に出て、おいしい紅茶ができあがります。セイロンなどの細かなリーフなら2分半から3分、ダージリンなどの大きなリーフは4?5分ほど蒸らします。

湯の対流が起きやすいよう、紅茶のためのポットは底が丸いものを選びましょう。ガラス製ポットだと、リーフがジャンピングする様子を見ることができます。

 

●ミルクティーとレモンティー

 

ミルクティーに使うミルクは、コーヒークリームなどでなく、ごく普通の牛乳を使います。あらかじめ温めたティーカップに適量の牛乳を入れ、上から入れたての紅茶を注ぎましょう。ミルクの分だけ味がぼやけるので、アッサムやセイロン紅茶など味わい深いタイプのリーフを使うとおいしさがアップします。

レモンティーの場合も、あらかじめ温めたカップにレモン1片と好みで砂糖を入れ、上から熱い紅茶を注ぎます。熱の力でレモンの香りがギュッと引き立ち、おいしいレモンティーができあがります。

 

●簡単においしいアイスティーを作る

 

一般的なアイスティーの作り方は、普通より濃いめに入れた紅茶をたっぷりの氷に一気に落とし、急速に冷やして作るという方法です。すぐにアイスティーを飲みたい時にはおすすめです。

もう少し、時間をかけることができれば、水出しのアイスティーもおいしいものです。常温の水500ccに対して、茶葉4グラム程度を用意します。紅茶はダージリンティーなど大きなリーフのほうが苦みが出ないのでお勧めです。麦茶用ポットなどの容器に常温の水とリーフを入れ、そのまま4?5時間放置します。その後、リーフを取り除き、冷蔵庫に冷やしてできあがり。香りのよい上品なアイスティーが楽しめます。

 

以上、おいしい紅茶の入れ方をご紹介しました。時間と手間を少しだけプラスして、薫り高い紅茶を楽しんでみてはいかがでしょうか。ほっと心の安まる時間が生まれるかもしれません。

 

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魚の名前をめぐる伝説

島国に暮らす日本人は古くから身近に獲れる海の魚、川の魚を食べ続けてきました。魚は生活に密着した存在だけに、古い伝説や説話がたくさん残されています。その中から魚の名前にまつわる有名な説話をご紹介します。

 

●その昔、「赤いやつ」と呼ばれた魚

 

奈良時代に書かれた日本最初の歴史書『日本書紀』。その中に「海幸彦」と「山幸彦」の出てくる有名な物語があります。

兄の海幸彦は釣り針で魚を捕り、弟の山幸彦は弓矢で狩りをして暮らしていました。あるとき、2人は自分たちの大切な道具を交換し、いつもとは違う狩り場にでかけます。漁に慣れない山幸彦は、魚に釣り針を取られてしまい、兄から「あの釣り針を返せ」と責められて、弱り果てます。そこで海の神であるワダツミノ神の宮殿に行き、釣り針の行方をたずねたところ、さっそくすべての魚を取り調べ、アカメの口の中にあるのが見つかりました。

アカメのアカは「赤」、メは「奴」という意味で、「赤いやつ」という呼び名です。アカメは山幸彦に無礼を働いた卑しい魚であるとされ、その悪い名前を忌み、新しい呼び名を得ました。それが「タイ」なのです。平安時代に編纂された『延喜式』に、平たい魚だから「平魚(たい)」と呼ぶと記されています。

 

●子どもの身代わりになった魚

 

秋から冬にかけてが旬のコハダ。酢じめで寿司ネタにするのが美味ですが、この魚は成長とともに名前の変わる出世魚で、4?5センチのものをシンコ、7?10センチくらいのものをコハダ、12?13センチをナカズミ、15センチ以上のものをコノシロと呼びます。同じ出世魚のブリとは異なり、コハダは小さい方が高級魚で、コノシロサイズになると、ぐっと価格が下がります。

コノシロにはさまざまな伝説があり、1719年、新井白石が著した辞書『東雅』には、こんな物語が記されています。

昔、ある男が妻を亡くし、後妻を娶ることになりました。前妻の子どもが邪魔になったので、これを召使いに殺させることにしましたが、召使いは子どもを哀れに思い、手を下すことができません。子をよそへ隠しておいて、代わりにツナシと呼ばれた魚を焼き、死んだ子どもを荼毘に付したと嘘をつきました。ツナシを焼く臭いは、人の体を焼く臭いとよく似ていると言われていたのです。そしてツナシは子どもの身代わりになった魚として、コノシロ(子の代)と呼ばれるようになりました。

 

●鯉のおかげで恋が叶う

 

『日本書紀』の中の『景行紀』には、鯉の名前に由来する次のような物語があります。

景行天皇が美濃国を行幸されたとき、弟媛(とえ)という名前の絶世の美少女を見そめました。さっそく天皇は彼女を召されようとしましたが、弟媛は怖れて、竹林に姿を隠してしまいました。景行天皇は彼女を誘い出そうと、滞在していた泳(くくり)の宮の池に水を張り、鯉を放ちました。すると鯉の泳ぐ姿を見たくて、弟媛が池のほとりに現れたのです。天皇はすぐ彼女をとらえて情を通わせました。この故事から、この魚を「コヒ」と呼ぶようになったといいます。恋が転じて、魚の名前になったというわけですね。

 

以上、魚の名前にまつわる物語をご紹介しました。私たちが日常でなにげなく口にしている魚にも、さまざまな歴史や文化が息づいているのですね。