東日本大震災を機に注目されるようになり、昨今の自然災害増加や新型コロナウイルスの流行により、新たに必要性が高まっているのがBCP対策です。
例えば、通信が途絶えた、電気やガスが止まった、設備が壊れた、人の移動ができない、といった不測の事態が起きたとしても、企業は被害を最小限に抑え、事業を継続していかなければなりません。
そのためにも、企業はこうした状況を予測し、BCP対策を準備しておく必要があるのです。そこで、BCP対策について紹介するとともに、数あるBCO対策から5つを選んでご紹介します。
◆BCP対策とは?
BCPとは、Business Continuity Planの略であり、日本語では「事業継続計画」を意味します。中小企業庁では、中小企業にBCP策定を浸透させるため、中小企業BCP策定運用指針を作成しており、その中でBCPを以下のように定義しています。
「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです」
不測の事態が起こった際、企業が事業を継続していくためには、BCP対策が重要になります。また、BCP対策は一度立てたら終わりではありません。状況にあわせて、見直していくことも大切です。
◆BCP対策5選
BCP対策は、事業内容や起こりうるリスクにより、準備しておく対策が違ってきます。企業がBCP対策を策定する場合、現状を把握し、どのようなリスクがあるかを予測し、それにあった対策を講じることが必要です。
ここでは、企業が考えておきたいBCP対策の例として、5つの対策をご紹介します。
●緊急連絡網の作成
台風や地震などの災害時には、従業員の安否確認や連絡事項の伝達のために連絡網が必要です。
どのようなタイミング(震度6以上の地震発生、社長が必要だと判断したなど)で、どのような手段(電話、メール、SNSなど)で、どのような順番で連絡を取るのか、といったことを明確にした、緊急時の連絡網を準備しておきましょう。
●データバックアップとバックアップ回線の準備
いつどこからでもデータにアクセスできるよう、クラウドサービスなどを利用してデータをバックアップしておくことが重要です。さらに、災害時や通信会社の不具合などによる通信遮断に備え、通常使っている主回線とは別に、衛星回線などを利用したバックアップ回線を用意しておきましょう。
●工場や資材調達先などの分散化
災害などにより、建物・工場の倒壊や交通手段の断絶が起こると、企業活動が円滑に進まなくなる可能性があります。少しでも被害を減らすため、生産拠点や設備を分散しておく、資材の調達先を複数用意しておくなど、工場や調達先を分散化しておくのが理想です。
●リモートワークの準備
災害で交通手段が断絶するだけでなく、新型コロナウイルスのような感染症により、通勤が難しい、集まって仕事をすることがリスクになる、といったことも考えられます。出社できないときの選択として、リモートワークができる準備があるとよいでしょう。
●自家発電設備と蓄電システム
停電すると、ほとんどの企業活動が止まってしまうといっても過言ではないでしょう。太陽光発電などの自家発電設備や蓄電システムなどを導入し、非常時の電源を確保しておきましょう。
いかがでしたか。今回ご紹介したBCP対策は一例であり、企業ごとに準備すべきBCP対策は異なります。大切なのは、自社に最適なBCP対策を練ること。災害時や感染症などの流行時に、自社にはどのようなリスクが考えられるのかを洗い出し、優先順位を決め、どのような対策をとるべきか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。