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歴史を知って、コーヒーをもっと楽しもう

アメリカ、ドイツに続いて世界第3位のコーヒー輸入国、日本。ひとり当たり週10杯ほどのコーヒーを飲み(社団法人全日本コーヒー協会調べ)、まさに生活文化の中に欠かせない存在になっています。今月はそんなコーヒーの長く、ユニークな歴史について紹介します。

 

●栽培植物としてのコーヒー

 

コーヒーはアカネ科の植物であるコーヒーの木から採集します。産地ではコーヒーの苗木を農園に植え、2、3年育成し、白い花を咲かせます。ジャスミンの香りに似た美しい花がしぼむと、コーヒーの実がなり、これが真っ赤なサクランボのように熟すので、コーヒーチェリーと呼ばれています。

農家の人々は、このコーヒーチェリーを摘み取り、中に入っている種子を取り出します。これがコーヒーの生豆です。乾燥させ、焙煎すれば、おなじみのコーヒー豆になるのです。

コーヒー豆の種類は大きく分けて、アラビカ種とロブスタ種の2種類です。中でもエチオピア原産のアラビカ種は世界各地で広く栽培され、全体の7?8割を占めます。ビクトリア湖周辺から西アフリカ原産のロブスタ種は残りの2、3割の生産量ですが、病虫害に強く、ブレンド用に重用されています。

コーヒーは生育条件が厳しく、雨季と乾季のある場所、そして年平均気温が20度くらいの過ごしやすい環境が必要です。地球上で栽培最適地を見ると、赤道を中心に、南北の回帰線に挟まれた土地に限られ、これをコーヒーベルトと呼んでいます。原産地のエチオピアはもちろん、ケニア、インド、ベトナム、ジャワ、グアテマラ、コスタリカ、ジャマイカ、ブラジルなど、有名産地はすべてこの地域に含まれています。ほぼ唯一の例外はハワイ島で栽培されているコナコーヒーと言われています。

 

●アラビアで愛されたコーヒー

 

コーヒーに関する記録でもっとも古いのは、紀元900年頃に書かれたアラビア人医師ラーゼスの書いた文書です。彼は野生のコーヒーの種子の煮出し汁を患者に飲ませ、臨床記録を残しました。そこには「コーヒーは消化を助け、利尿作用がある」などの言葉が残っています。

また13世紀にはエチオピアのヤギ飼いが、コーヒーチェリーを食べて興奮して騒ぐヤギを見て不思議に思い、近くの修道院に、その話を伝えました。修道院長も不思議に思い、コーヒー豆を茹でて飲んだら気分が爽快になり、それから各地にコーヒーを飲むという習慣が生まれたという伝説が残っています。

コロンブスがアメリカ大陸を発見した15世紀頃には、メッカなどアラビア各地でコーヒーの飲用が広がり、16世紀にはトルコにも伝播。1554年には世界最初のコーヒーハウスがイスタンブールにオープンしました。その後もコーヒーハウスはトルコ全土に広がり、社交の場として多くの人に愛されるようになりました。

 

●ウィーンのコーヒーの事始め

 

その後、コーヒーはトルコからフランス、ドイツなどに伝わっていきました。1683年にはトルコのモハメッド4世が30万の軍隊をウィーンに派兵し、陥落させようとしました。するとトルコの言葉や風俗に通じたコルシツキーという人物がトルコ軍包囲網を突破して、隣国から応援を呼び、トルコ軍を敗退させることに成功。その時、大量に残されたコーヒー豆の使い方を知っている人がいなかったので、彼はこれを戦利品としてもらい受け、数日後、ウィーンにコーヒーハウスを開きました。これが現在にまで続くウィーンのコーヒー文化の始まりとなったのです。

さて、そんなコーヒーの歴史を追いかけて、日本にやって来ました。我が国にコーヒーが伝わった正確な年代はわかっていませんが、17世紀、長崎の出島にあったオランダ商館の駐在オランダ人によって、持ち込まれたのではないかと考えられています。

 

以上、コーヒーの伝播の歴史について解説しました。そんな歴史を思い浮かべながら楽しむコーヒーは、いつもよりさらにおいしく感じるかもしれませんね。