人の色の好みはさまざまですが、「金色」が大嫌いという人はそれほど多くはないでしょう。最近の実験で、人は生後7、8カ月くらいから「金色」を好むという結果がでています。今月は赤ちゃんの色の認識について紹介します。
●初めて見える色は赤と緑
人の目の網膜には、色を感じる錐体細胞があります。この細胞は赤色に反応するもの、緑色に反応するもの、青色に反応するものの3種類があり、赤・緑・青の3色の組み合わせで、人はすべての色を認識しています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだこの錐体細胞が未発達で、生後3?4カ月くらいは赤と緑をなんとか感知しています。その後、徐々に青色がわかるようになり、見える色のバリエーションが増えていきます。
赤ちゃんは視力そのものも十分に発達していないので、最初はぼんやりとした視界しか得られていないようです。そんな状態で色の判断をするので、小さな面積より大きな面積の色がわかりやすく、暗い色より明るい色がパッと目に入ります。
実験によると生後4?5カ月の赤ちゃんの好むいろは赤と青。またくすんだ色、地味な色より、彩度の高いパッと目をひく色が好きなようです。この時期の赤ちゃんにおもちゃを与える時は、赤や青のきれいな色のものがオススメです。
●モノの形と色を一緒に理解する
生後半年くらいを過ぎてくると、赤ちゃんはおすわりが上手になり、モノの立体感が少しずつわかりはじめます。また両手を自由に動かして、ものを掴むこともできるので、触覚を通じても周囲の理解が深まります。
この時期、赤ちゃんはモノの形、匂いとともに、色の認識をするようになります。リンゴは赤、イチゴも赤、バナナは黄色と言った具合に、身近なものには特定の形と色と匂い、味などがするというのを理解するのです。
普通のイチゴを見せると、興味津々で視線を向ける赤ちゃんでも、緑色に塗ったイチゴを見せたら知らん顔をします。この頃から人の肌の色も認識していて、青く塗った人の顔を見せると知らん顔をします。これは人ではない、という認識になっているのでしょう。
大人と同じように、この色は赤、これは青などと名前をつけて認識はしていませんが、周囲の環境を彩るBGMのような感覚で色を捉えているのです。
●赤ちゃんは光り物が大好き
生後7?8カ月の赤ちゃんを対象にした実験によると、赤ちゃんはキラキラ光る明るいものが大好きで、とくに光る黄色に強く反応しました。同じく光る緑などのメタリックカラーと比較した結果、やはり光る黄色を好み、赤ちゃんの脳内で光る黄色は黄色の仲間ではなく、金色という特別カラーなのだという認知をしているらしい、ということが分かっています。
私たちは古来から金の輝きにひかれ、金を重用してきました。加工などに適した金属の魅力というものもありつつ、あの独特の色合いにも強く惹かれています。まさに人は赤ちゃんの頃から、この輝きに魅せられて、金を愛し続けているのかもしれません。
以上、赤ちゃんの大好きな金色についてご説明しました。ゴールドは世界の人を惹きつける特別な存在ですが、もしかしたら人の本能に近いなにかを刺激するのかもしれませんね。