米に継いで、いまや日本人の主食のような存在であるパン。西日本と東日本では異なるパンの嗜好や、おいしいパンの食べ方、保存の仕方など、パンをめぐるあれこれをご紹介します。
●西は厚く、東は薄いパン文化
朝ごはんの代表である食パン。日本人なら誰でも同じように食べているのかと思いきや、西日本と東日本では微妙にパンに対する好みが違います。
東日本では6枚切り、8枚切りが基本。薄めのパンをぱりっと焼いていただくのが好みです。一方、関西では5枚切り、4枚切りという厚切りの食パンに人気が集まっています。かりっと焼くのではなく、ふんわり、もっちりした食感を大切にしているのがわかります。パンの消費量そのものも、西高東低の数字がでています。総務省の家計調査(2014年)の結果を見ると、一世帯あたりのパン消費量が最も多いのが京都符。2位以降は兵庫県、岡山県、滋賀県、大阪府が続き、関西地方が突出しています。明治以降の早い時期から西洋食を積極的に取り入れてきた先取の文化志向が現れているのかもしれません。
●パンのおいしさはタンパク質が作る
パンのおいしさの多くは、そのふわっとした食感にあります。この食感を作るための重要な鍵が小麦粉に含まれているタンパク質です。
小麦粉に水を入れて練ると、タンパク質が変性して、伸びのあるグルテンという物質が生まれます。グルテンはパン生地の中で気泡をたっぷりと抱え込み、パン全体をふわふわの食感にしてくれるのです。
グルテンをたくさん作るには、タンパク質の含有量の多い小麦粉が必要になります。国産の小麦粉はタンパク質があまり多くなく、どちらかというと製パンには不向きです。現在、小麦の自給率は約1割。9割はアメリカ、オーストラリア、カナダから輸入されています。
ただ最近になって、米粉を使った作られたパンが注目され、生産量も増えています。米粉のパンはタンパク質の含有量が多く、小麦アレルギーの人でも食べられるという利点があります。また米粉のパンは従来のものと比べて、水分の含有量が多いので、しっとりきめ細やかで、もちもちした食感が楽しめます。
●余ったパンは冷凍保存がベスト
せっかく購入したパンは、残さずにおいしくいただきたいものです。食パンを購入して、余ってしまった場合は冷蔵庫ではなく、冷凍で保存しておくのが正解。水分が飛ばないよう、1枚ずつ丁寧にラップに包み、冷凍庫用の保存袋に入れて、袋内部の空気をしっかりと抜きながら封をします。そのまま冷凍庫に入れて、2週間くらいを目安に食べきりましょう。保存袋に日付を入れておくと安心です。
解凍する場合、凍った状態のままオーブントースターに入れ加熱していきます。ただし4枚切りなどの厚切りパンの場合は、なかなか芯まで火が通りません。あらかじめ自然解凍してから焼きましょう。
以上、誰もが口にするパンについて、様々な角度から見てきました。西と東のパン文化は思った以上に異なり、興味深いですね。たまには関西流、関東流など、違う生活圏のパン文化にトライしてみるのも面白いかもしれません。