古くから保存の利く乾物として、また巻き寿司の具に使う食材として知られているかんぴょうは、食物繊維、カリウム、カルシウムを豊富に含んだ健康食品でもあります。6月から8月にかけて収穫の時期を迎えるかんぴょうについてご紹介します。
●栃木県の名産品
かんぴょうの原材料はウリ科の夕顔の果実です。かつて夕顔は大阪を中心に関西地方で栽培されていましたが、江戸時代に関東地方へ種が伝わり、現在は全国生産量の90%以上を栃木県で栽培しています。同地は関東ローム層に覆われて水はけがよく、果実が大きく成長する盛夏には日光那須連山から発生する雷雨によって水分が供給され、夕顔がよく育つ自然環境に恵まれているのです。
夏に収穫した夕顔は、苦みのある外側の皮をむき、内側の白い果実を薄いかつら剥きにします。これを乾燥させてかんぴょうを作りますが、芯には種が入っているので、実際に使える実の部分は全体の3割程度です。かんぴょうは漢字で書くと「干瓢」。「瓢」はひさごと読み、夕顔やひょうたんの総称です。これを干したものという意味で「かんぴょう」と呼ばれています。
●栄養豊富なかんぴょうパワー
かんぴょうは栄養価が高く、特に食物繊維が豊富です。キャベツ100g中、食物繊維1.8gに対し、水で戻したかんぴょう100g中、食物繊維は6g。約4倍も多く含んでいるのです。また乾燥したままのかんぴょう100gあたり、カルシウムとマグネシウムはそれぞれ250mgと110mg含まれています。カルシウムとマグネシウムは2対1の割合で摂取したとき、もっとも効率よく吸収されます。かんぴょうはこの黄金比をほぼ実現しているといってよいでしょう。
この他、体内の余分な塩分を排出させ、血圧を正常に保つ働きのあるカリウムも豊富に含んでいるので、かんぴょうは高齢化社会にぴったりの食品かもしれません。
●工夫次第で食べ方はいろいろ
乾燥したかんぴょうは一度、少量の塩を振りかけて水洗いし、その後、5~10分程度水に浸けて戻します。これをたっぷりの熱湯で5~10分間茹で、使いやすい大きさに切り分けて、小分けにし、ラップに包んで冷凍しておくと便利です。
かんぴょうは巻き寿司の具としての使い方が一般的ですが、味噌汁やスープの具、混ぜご飯の具、乾燥したままのかんぴょうをかりかりに炒めてサラダのトッピングにするなど、さまざまな利用法があります。ぜひ工夫してみましょう。
以上、かんぴょうの歴史と生産地、栄養、食べ方についてご紹介しました。普段、あまり使わない乾物ですが、豊富な栄養を持つ優れた食品です。ぜひ日常生活の中に取り入れたいものですね。