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「和牛」を知って、おいしく食べよう

蒸し暑く、体力を消耗する季節だからこそ、良質なたんぱく質いっぱいの食材「和牛」に注目してみませんか。日本が誇る美食の最高級素材とも言える存在です。今月は和牛の基礎知識をご紹介します。

 

●「黒毛和種」の父親はたったひとり!?

 

和牛というと、国産の牛のことだと勘違いしがちですが、もっと厳しい定義があります。和牛は国に認定された日本固有品種のこと。いわゆる国産牛とはまったく違う存在です。

和牛の代表的な品種は「黒毛和種」です。ホルスタインなどの外来種に中国地方で古くから飼育されていた固有種の和牛をかけあわせると、霜降りが入り、品質のよい肉質になります。1937年に「黒毛和種」という名称が認定され、飼育数も増えていきました。現在、国産牛といわれる肉のほとんどがホルスタインの母に「黒毛和種」の父を持つ牛で、和牛全体の9割を占めるほどの存在です。

「黒毛和種」の父親として有名なのが、兵庫県美方郡で飼育されてきた「但馬牛」で、中でも「田尻」号という有名な牛が存在しました。1939年に生まれ、1958年に死ぬまで、「黒毛和種」の優秀な種牡牛として活躍し、現在、「黒毛和種」の母牛の約9割は「田尻」号の遺伝子を受け継いでいます。

 

●3種類の和牛に注目

 

和牛の代表選手は「黒毛和種」ですか、国内には他に3種類の和牛が存在します。

東北北部原産の南部牛に米国ショートホーン種などを交配し、改良を進めたのが「日本短角種」です。飼育地域は岩手、青森、秋田、北海道で、北日本の風土に適した性質を持っています。夏の間はゆったりと放牧生活を送り、冬はサイレージや干し草を与えて育てます。飼育農家にとって、手がかからない良い牛でもあります。

熊本県、高知県には「褐毛(あかげ)和種」という和牛がいます。和牛のルーツである朝鮮牛の遺伝子を濃く持つ品種で、明治時代以降に大型のヨーロッパ牛「シンメンタール牛」などとかけ合わせ、「褐毛和種」という銘柄を作りました。「黒毛和種」と同様、霜降りの入った、きめ細かな肉質が特徴です。

4種類目の和牛は「無角和種」という稀少な品種です。山口県阿武郡一帯で飼育されていた在来の黒牛にイギリスの牛「アバディーンアンガス種」を交配し、改良しました。体は丸みを帯びて、四肢は短く、典型的な肉用牛の体型をしています。成長の速度が早いという利点がありますが、霜降りは入らず、シンプルな赤身肉が特徴です。

 

●松阪牛は特別な「黒毛和種」

 

世界に誇る日本の和牛ブランドといえば「松阪牛」です。

この牛も、もともとは「黒毛和牛」ですが、飼育方法に厳しい基準があります。三重県松阪市を中心とした一定の地域の中だけで育てられる牛で、生後12カ月までに松阪牛生産区域に連れてこられ、一頭一頭、厳重に管理されて育ちます。中でも同地域で900日以上飼育された牛は「特産松阪牛」と呼ばれ、きめ細かな霜降りと柔らかな肉質で広く知られています。

 

以上、和牛の基礎知識を解説しました。この夏、少し奮発して、おいしい和牛を食べるのはいかがでしょうか。