もともと、ワークライフバランスの実現や少子高齢化対策の一環として進められてきたのがテレワークです。しかし、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大し、通勤しなくてもいい働き方として導入する企業が一気に増加。令和2年のテレワーカーの割合は22.5%で、平成28年度の14.2%と比べて、大幅に増えているという厚生労働省の調査結果もあります。
その後も継続してテレワークを実施している企業もあり、テレワークが定着してきたともいえるでしょう。同時に、テレワークという見えにくい働き方の課題が、顕在化してきていることもあると思います。
そこで、テレワークにおける課題、問題を解決するための可視化ツール、可視化のメリット、デメリットについてご紹介します。
◆テレワークにおける課題
テレワークは、新しい働き方として定着している反面、テレワークを実施することで生まれた課題もあります。そこで、可視化できていないことで起こる可能性がある、3つの課題についてみてみましょう。
●勤怠状況把握についての課題
テレワークでは、いつ仕事を開始したか、いつ仕事が終わったかが見えにくいものです。また、プライベートと仕事時間の線引きがしにくいこともあり、就業時間中にきちんと働いているかという問題と、就業時間以外に働きすぎていないかという問題の両方があります。
●業務管理についての課題
企業にとっては、プロジェクトやタスク管理が欠かせないことでしょう。しかし、テレワークを行っている従業員が、今、どのような業務をどのくらい行っているのかが見えにくく、従業員にとっては、今自分がなにをやればいいのかわかりにくいということがあります。
●コミュニケーションの課題
同じオフィスで机を並べていれば、ちょっとしたことを聞くこともできますし、お互いの顔色をうかがうこともできるでしょう。しかし、テレワークの場合、相手の顔が見えないため、顔色をうかがうこともできず、ちょっと話しかけるということも難しいので、コミュニケーション不足に陥ることもあります。
◆テレワークでできる3つの可視化
テレワークの場合、同じ場所で働いていないからこそ必要なのが可視化です。そこで、可視化のために使えるツールをご紹介します。
●タスク管理ツール
オンライン上で、プロジェクトの進み具合を管理するためのツールです。ツールにもよりますが、プロジェクトごとのタスク管理をはじめ、個人のスケジュール管理、TODOリストの管理、課題の管理、メッセージ管理などができます。進捗が共有でき、今誰が何をやっているのかがわかって、作業を円滑に進めるのに役立ちます。
●業務管理ツール
業務可視化ツールとは、テレワーク中の従業員が、どのような働き方をしているのかを把握するツールです。業務時間をどのように使っているのか、業務に改善点がないのかといったことを把握できるよう、情報を収集し、可視化して、傾向を分析することができます。ツールにもよりますが、従業員の操作ログを収集できるよう、パソコンにソフトウェアをインストールし、サーバーでログを収集してデータ分析を行います。
●コミュニケーションツール
コミュニケーション不足を解消するためには、気軽にコミュニケーションをとれるようなツールが有効でしょう。コミュニケーションツールを使うことで、チャットで簡単に話しかけることができ、ビデオ通話で顔を見て会議を行うことも可能です。
◆可視化のメリット、デメリット
テレワーク中でも、可視化することでさまざまなメリットがあります。勤怠状況が分かったり、業務が効率的に進んだり、コミュニケーション不足を解消できたりといったこと以外にも、従業員ひとりひとりがどのように働いているかがわかるため、企業が従業員を正当に評価することも可能になります。
可視化のデメリットがあるとすれば、コストの問題でしょう。可視化するために必要なツールは様々あり、無料のものもあれば有料のものもあるので、使うツールによっては費用が掛かることもあります。
いかがでしたか?働き方のひとつの選択肢として誕生したテレワークですが、コロナ禍で広がり、定着したという企業もあります。その中で、離れて仕事をしているために見えないことで生まれる課題も出てきました。しかし、これらを可視化することで、課題解決に導いている企業もあります。テレワークを実施しているけれど、なかなかうまくいかないという企業は、改めて可視化を意識してみてはいかがでしょうか。